
――翼のある猫は、単純な猫でした。
相手が嬉しいと自分もたまらなく嬉しくて、相手が退屈そうにしている
と、どうしていいのかわからず、おろおろするばかりの猫でした。そし
て、どうしようもないぐらい猫が好きなのでした。たとえ冷たい言葉で
嫌なことを言われても、やはりどうしても嫌いにはなれませんでした。
★★★
《毒猫ミイ》は、ひとりぼっちが、心にしみついた猫でした。そしていつ
からか、ひとりぼっちがどういうことかすら分からなくなっていました。
《毒猫ミイ》は、自分が毒猫と思いこんでいるので、いつも誰かを傷つけ
てしまわないように。そればかり気にしているのでした。
『いつも誰かを傷つけてしまわないかと、そればかり気にしていました』
毒猫ミイは、みんなが来る前に教室の一番目立たない隅の席に座り、みん
なが帰ってしまってから、誰とも顔を合わせないように帰るのでした。
そして、そんな毒猫ミイを気にとめる猫は1匹もいませんでした。
★★★
下宿先へと向う帰り道。翼のある猫はぼんやり考えました。『きっと、
いつも友達に囲まれている猫には、一人ぼっちの猫の気持ちなんてわか
らないんだうな………。さびしいって一番辛い気持ちなのに。』
秋の夕暮れに、長い影が、商店街の看板に映っては消えて――。
■翼を捨てたい猫の物語 05リミックス版
−IRO& CHEMICAL CORPORASHIONS


