2005年11月29日

アタシと平尾くんの『自爆装置ストラット』

  
――改札口でずっと泣いているので、嫌だった。

だけど置いていくわけにもいかず、他人のふりをするわけにもいかず、
しょうがなく嫌々、彼女の傍にいた。そんな風に、彼女は突発的に感
情の歯止めがきかなくなるときがあった。それは大抵ワガママから来
るもので。だけどそれを責めるだけの甲斐性も僕にはなく。ただ――。
ぼんやり、他人事のように眺めていた。「早く泣きやめばいいのに」
と、考えながら。僕が、おばあちゃんっ子で、よく泣いていると、姉
は憎らしげによく、こう言ったことを思い出す。

『泣けばいいと思って――。』

僕が、姉は冷たい人だと思った瞬間だった。そして今僕は、その言葉
を、この子に言おうとして、ちょっと踏みとどまる。それから帰って
家で、――泣いたりしてごめんね。なんてメールが来ると。どうしよ
うもない気持ちでいっぱいになるのだ。

彼女は、真夜中のまどろみの時間にたたずんでいた。そして、「どう
してアタシはいつもこうなんだろう?
」と嫌な気持ちで眠れず。また
思う。
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待ち合わせた改札口に ぴったりと出会わ
なければ たちまち不安になる今は昨日へ
続いた 愛情ってやっかいなもので 怖く
て 温かくて その思いつめた力強さは 
ときに人を救い また人を傷つける だけ
ど あの人がとんなに冷たくて嫌な人でも
好きになったものはどうしようもなくて 
ひかれてゆく強引に向こう側へ引きずられてゆく

こんなにもアタシを揺り動かすものを――。熱帯が私へ近づいてくる
この窓から忍びこむのは 椰子を揺らすあの熱帯の物憂い風だ

『ワタシは人間を傷つけないようにプログラムされているのです』

真夜中の白黒映画のロボットはそう言って、泪を流す代わりに 自爆
して果てた。私はあの人を傷つけたいけど、できないでいる。そうし
て眠りにつく前に。そっと呟く。

アタシはあの人を愛しているんだ――。

                           ■アタシと平尾くんの自爆装置ストラッド
  
posted by イロ室長 at 00:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 土曜はカメムシを探しにU | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月27日

超能力を使ってしまおうかとおもったが、我慢した午後

  
嫌な連中を相手にして、ちょっと人を見下したような態度が鼻について
俺はよほど超能力をつかってしまおうかと思ったが、超能力はそんなこ
とにつかうもんじゃないと我が一族の掟にあるので、なんとか自制した。

まったく。俺がバカのふりをしているのは、世をしのぶ仮の姿であって、
本当は自転車の前カゴを知らない間に4台同時に少し凹ませるぐらいの力
(超能力)があるのだ。それを隠すために阿呆のフリをしているのだが、
やはり俺も人間なので、バカにされると多少気になるというか、実は凹む。

そんなこんなで俺が嫌な気分になっていると《亜美ちゃん》が来て、こ
んなことを言うのだ。

『だってバカなんだからしょうがないじゃん』
「だよね。あいつ等なんか相手にしたってカロリーの無駄だよね」
『違うよ。イロちんが、バカなんだよ』
「あ、そうか、俺、バカだった。あは、あはははは。そうだそうだ。」

――そうだよ。イロちん。……バカが一番素敵で、一番偉いんだよ。
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《亜美ちゃん》………いつも、ありがとう。俺は
トイレで少し泣いた。

ふと、ミツバチになって、花の中で全身これ花粉
まみれになって、『かぁーっ!たまんねえなあ!
畜生ーっつ!
』と、身もだえしたい。と、そんな
ことを考えて、まさかな………と苦笑いする。

ハクション大魔王の最終回を思い出して、見上げた空は潤んでいて、
それは僕の涙なわけで。それを話したら《サイトウユウコ》が、『赤毛
のアンのマシュウが死ぬときは、もっと泣けます
』なんて言うのだ。こ
の女は、そんなことを言うのだ。そして――。毎日いろんな人にかこま
れて、訳がわからないまま、ぼくは今日もひとりぼっちです。ハクショ
ン大魔王は帰ってきません。どんなに懐かしんだって、時代は逆戻りし
ません。僕等は――。

まだ出会ってすらいないんだ。きっと。

                              ■猫もつれてゆこう、好きにやればいい
  
posted by イロ室長 at 23:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 土曜はカメムシを探しにU | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月26日

修学旅行の班編成で、ひとりあまってしまった僕は

  
――松本千秋はもう教官に甘えません。たくましいカメになります。

違う……それは《ちえみ》じゃない。《ちえみ》はもっと可愛いんだよ。
やり直し!『でも師匠、アタシ「ちえみ」って知らないんですけど…』
「松本。本当に一人で、再試験に体当たり出きるんだな?」と杜夫な俺。
………何やってんだよ。ダメだよ《宝田》。お前、その爆乳はダテか?
そこで『片平なぎさ』が、手袋を口ではずす!だろ?」ったく。おい
おいおい。お前ら歌は?俺は後で休憩してる《経理のバカ女》どもに言
う。

  ♪イロさんは社内で一番 いかす〜と言われる教官〜
   優しく楽しく勇ましい 誰が射止めるそのハート わ・た・し!


休憩室は俺のステージだ。そして俺はいつもの自分へ立ち直りつつある。
確かに、一歩ずつだけど――。 そして暇なのは、定例会議で上司もいな
く、《小嶋》に俺の仕事をやらせてるからだ。屋上でビールにしようかな。
と思いつつ。何かカッコイイことが言いたくなったので、《由美ぶ》に、
ちょっかい。
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――あいつと別れて俺と付き合えよ。

「いいよ。」『ぅ…ぅえ?』

俺は逃げるようにその場を後にした。相手が悪
い。一枚上手だ。


朝が来る。朝が来る。朝が来るっていいなぁ。毎日リセット。ポチッと。
それから、俺は《井村》の胸倉を掴んで、涙をこらえ震える声で呟いた。
それが今のせいいっぱいの自分だった。今日のハイライト。ドン!

『いいか《井村》………覚えておけ。笑われてバカにされて、役たたず
 と思われている奴が一番偉いんじゃ。世の中で一番尊いんじゃぁぁ!』


                            ■乗客に日本人はいませんでした
   
posted by イロ室長 at 00:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 土曜はカメムシを探しにU | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ハクション大魔王は帰らない、時代は逆戻りしません

  
気球に乗ってどこまでも、知らない街までいきたいなぁ。ベースボール
キャップをま横にかぶってイッツァ・スモールワールドみたいな街角か
ら街角へ。くわえタバコのガンマンよろしく、よれよれの短パンに片手
を突っ込んで自販機まで小径を抜けて行けば、それなりに僕なりに満足
で、環七は今日も渋滞だけど。真夜中に思い出す人は必ずしも、好きな
んかじゃないけど――。

――10分きりの休憩時間に、人の輪を避けて端っこにいた君を思いだした。

渋谷のスクランブル交差点。これっきりの後姿が、色とりどりの傘の渦
に揉まれて、揺れて、流されて僕等の短かった夏休みが、スローモーシ
ョンで人ごみの中に消えていく。

    《 それから互いに知らない時が過ぎてゆく 》

バイトに行って、帰ってきてすぐ寝て、また起きて、バイトにいって。
ただそれだけの繰返しで可もなく不可もなく、未来も過去もなく。夢す
ら見ない毎日の中で、自分をすりへらした分だけ、お金をもらって。
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誰とも話すことなく、出会うことなく、ふれあう
ことなく、知らずに君と較べて、君がいた季節と
較べて、つまらないと呟き、くだらないと背を向
け。苦笑いして自己嫌悪だけ残るんさ。

それから互いに知らない時がすぎてゆく。世界は
僕らに関係なく今日をはじめてしまう。

かぎりなく僕らを他人に近づけてゆく。ぼくは自分をすりへらし、お金
をもらい、つまらないと呟き、寝て、起きて、そしてまた明日もドアを
開け、何かを失いつづけるのだろう。

――10分きりの休憩時間に、人の輪を避けて端っこにいた君を思いだした。

それが僕らの出会いだった。

              ■ハクション大魔王は帰らない、時代は逆戻りしません
posted by イロ室長 at 00:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 土曜はカメムシを探しにU | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月24日

会社の下駄箱に「まつぼっくり」をためていて怒られた

  
――会社のトイレで。小便をしながら外を眺めるのが好きだ。

と、今日は遅メシだったので、みなが昼から帰ってきた頃、フロアを出
て『オシッコして、メシでも食うベ』とトイレから外を眺めていると、
会社の前の多摩川の土手に、山羊がいるのが見えた。

ああ。今日も山羊がいるなと思ってる矢先、会社の玄関からそそくさと
山羊に近づいていく奴がいる。《友里》じゃないか………。

――あいつ何やってんだ………休憩終わりの時間だろうに………。

《友里》は人目をはばかるようにキョロキョロして山羊に向っている。
あきらかに挙動不信だ。俺は、尿を切るのも忘れ《友里》を観察し続け
た。そのため注ぎ口を伝う醤油瓶の醤油のように、………その尿が、ま、
それはいいとして。しばらく辺りをうかがっていた《友里》が、おもむ
ろに、山羊の背中にまたがろうとし始めた瞬間
、俺は上履きのまま外に
飛び出していた。
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『やめろーっ!オメ、何やってんだよ!』
「ち、違うんです!イロさん!違うんです!」
『違うも何も、無理だって!ありえねぇだろ!
 山羊だってメェェって言ってんじゃねえか!』

「ち、違うんです。アタシ、小さい頃、家が貧
 しくて、両親の仲が悪くて……
だから、ち、
 違うんです。イロさん!」

よくわからなかった。意味わかんなかったけど、なんかその言葉は、心
の琴線に響いた。意味不明だけど、なんかすごい重みのある言葉のよう
に聞こえて、なんか、無意味だけど説得力があった…今度使おう。

――仲間は捨てた。俺に金と名声をくれ。

バンっ!!とドアを開き、敏腕プロデューサー役と勝手に決めつけた相
手に、搾り出すような涙声で言うバンドマンが今日の俺のブームだった。

                              ■君と僕の「まつぼっくり事件簿」
posted by イロ室長 at 22:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 土曜はカメムシを探しにU | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月23日

トリカブトりんどうが咲く頃には

 
出した写真を撮りに行くと、一枚目はチコ姉の写真でした。霧の中の八
代湿原でチコ姉がおおさわぎしている写真です。

トリカブトりんどうだよ!これで《杉村》殺っちゃうか!

板橋から甲州街道へむかう環七は相変わらずの大渋滞で、長く続くテー
ルランプは、微動だにしない。効きすぎたエアコンを切り、窓をすこし
開けて、片手で煙草に火をつける。ひとつ目を閉じて、深く溜息をつい
て、彼女の家へ続くこの道のりを逆算してみる。

このまま首都高に入り、常磐道に乗って、真夏の夜明けを抜ける頃には
あの行き慣れたタータンチェックのカーテンの真下にたどりつけるだろう。

  何も言わず、何も考えず、そこに行きさえすれば、
    きっと今はもうすこしましなものになるかもしれない。

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どうしてそれが、たったそれだけのことができ
ないのだろう?だけど、それをやってしまった
瞬間、今まで築き上げてきたものが一瞬で台
無しにしまうような気がして。


だけど、シュウちゃん………。

明日すら見失うようなこの街で、友達といえる友達もいないまま。夢とす
らよべないなにかを追い求めて、必死で、ひとりぼっちでもがいて。とき
どき自分が間違っているのではないかと、不安に怯えて。僕は、そんな日
々を。この東京という、そんな他人行儀を絵にかいたような街で、毎日を
そして今日を、今を、とりあえずすごしている。

  約束は、守れているのかな?

ちゃんと相手の目を見てはなしなさい』そんな君が残した言葉のひとつ
ひとつを苦笑いしながら思い出して。今日を、今を、明日を、過ごしてゆ
く。ねぇ。シュウちゃんさぁ、ラジオが言ったよ。

――環七の渋滞は4キロだってさ。まったく。

                            ■トリカブトりんどうが咲く頃には
   
posted by イロ室長 at 23:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 土曜はカメムシを探しにU | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

《結婚式》それは「パナップ」じゃなくて「カナッペ」だろ?


――アタシといるときは、会計はアタシにさせて。みっともないから。

結婚式の二次会の帰り、どしゃぶりの中央道、三鷹料金所付近で、《し
ぃ》が言う。曰く、カップルじゃなく、夫婦なんだから。ふーん。そん
なものなのか。―それにアタシ、男が金数える姿、好きじゃないんよ。

そしてまた一人、周りの人が結婚する。結婚――。

『まさかイロが《しぃ》を選ぶとは思わなかったわ。』

と《まさみ》がビールをごきゅごぎゅ飲みながら言う。こないだ久々に
日本に帰ってきた。ヤクザな女だ。結婚――。旦那がいて、その上、当
然のように彼氏がいる女――。二人ともアタシの大事な人という女――。

『どうして好きな人が二人いておかしいの?』
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一つしか席がない女ならしょうがないわ。でも
アタシには3つ席がある。そういうふうにでき
ている。はじめから。生まれたときから。

――そういうふうにできている。




隣りに、旦那を乗せて、後に彼氏をのせて……どうする?あと一つ空い
てる席があるけど?………冗談じゃない。お前の色ボケに付き合ってら
れるか。「どきどきした?」『しねーよ』「アタシ、いつもこうやって
落とすんよ。決め台詞
(笑)」

男は挙動が《すがすがしい》のがよい。という意見で《しぃ》と一致。
さ っぱりしていて、物惜しみしないのがよい。そして自分より大切な
人や ものをたくさん持っている人――。

                ■僕らはいつもギャッツビーみたいにやりたかった
posted by イロ室長 at 23:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 土曜はカメムシを探しにU | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月22日

平尾くんの瞳は、アタシの姉のあの嫌な目によく似ていた


――何をどんなに、どれくらい諦めてくれば、そんな瞳になれるの?

あれは神社で遊んでいたときだった。そうだ。集団登校で集合場所にな
っていた場所。《葛西くん》はいつも遅れてきて、班長だった姉と迎え
にいくことがいつも苦痛だった。《葛西くん》の家は、はボロで汚くて、
飼っている犬はバカで、糞はそのままで、お父さんとお母さんは、大抵
不機嫌で、時々ケンカしていて、できれば行きたくない家だった。

姉はいじわるだったので、長女よろしくSっ気が旺盛で、いつも最年少
のアタシにいじわるするのだ。そのアタシたちの遊び場の神社で、アタ
シは、缶ケリの鬼にばかりされて、しまいには、置いてきぼりにされた
ことを思い出す。

『《平尾くん》の瞳は姉のものによく似ていた』

泣きながらすがりつく。いじらしさを無理やり振りほどきながら、しが
みついてゆく。アタシは――引きずられていく。名前も知らない指先を
きつくしがみついてくる誰のものかわからない指先を、ひとつずつ剥が
して、ひきちぎってゆく。ひとりぼっちにならないように。あの夕闇の
中にひとり取り残された、みじめさから逃れるように。
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  アンタなんて、人あたりがいい、やさしさ
  がとりえだけの、そんなどこにでもいる、
  毒にも薬にもならない男と、じゃれあって
  ればいいのよ。くっついてればいいのよ。


そんな言葉に一瞬おどろいて。でも。でも、ア
タシはやさしくあの子に微笑むのだ。「そんな
もんなんじゃない?」と――。

《イノウエ君》は配達の途中、コスモスが咲く土手にスクーターを止め
て。気持ちよさそうに空を見上げるのでした。

『シュウちゃん。またこの季節が来ました。だけど約束どおり、今まで
一度も、ぼくらの思い出をたどるような、そんなカッコ悪いことはして
いません。時々すごく切なくなるときがあるけど、国道わきの真夜中の
コンビニに待ち合わせして、ひっきりなしに通るダンプの音を数えなが
ら、うつむきシュウちゃんのサンダルを眺めながら、したあの約束どお
り、思い出をたどることも、あの時代を懐かしむこともしていません。』


そうして今、君のいない何度目かの季節を、また迎えようとしています。


                          ■湯あがり天使が去った後で
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2005年11月21日

いいとこ見せたいそのわりに、悪いとこだけよく目立つ

  
「つめ水虫」について《友里》に熱く語っていると、《小嶋》がやって
きて、会社の前の多摩川の土手に、山羊がいると言う。それで俺とクズ
どもは会社の昼休みに、連れだって、山羊を見にいく。

――山羊は目が怖い。

「ほんとに山羊って紙食べるんですね?」と《堀口》が11月の淡い日
差しを逆光でうけて『アサヒ芸能』を楽しそうに食わせている。………
そんなもん食わすなよ。《由美ぶ》が顔を真っ赤にして、山羊と力比べ
をしている
。とりあえず『山羊とすげぇマブダチな記念スナップ』を全
体で撮って解散する。いい時間をすごせた。

山羊にいやされて会社に戻ると《小嶋》たちが、仕事そっちのけで、ほ
うきスポンジ野球をしている。「休日出勤だもんな」と俺が言うと、隣
りで《のっこ》が『えぇ。休日出勤ですから』と微笑む。それが常識を
もった社会人の、正しい休日出勤のありかたと僕らは思っている。

――鼻をほじっていると、鼻血がでてきて止まらなくなった
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そうゆうことってよくあることだと思って、鼻
にティッシュを詰めて、仕事に集中する。そう
ゆうことってよくあるよな?と聞くと、

「え?そんなことないですよ。止まらないほど
鼻血がでるなんて………」と。
 

何も予定がない休日に。予定がない一日をのんびりとすごした僕らは、
お昼に、パスタを作って、FMを聞きながら、ゆっくりいれたコーヒー
を飲みながら、窓際にソファを移して、寝転んで空を背景に、はしゃい
だり、本を読んだりしてすごした。太陽の子どもみたいに。それから、
ふいに君が、『海に沈む夕陽を見たい』というので、僕らはその計画に
夢中になって、江ノ島まで車を飛ばした。太陽を追いかけて。


太陽を追いかけて。僕らは。ゆくのだ。例え悲しい結末でも、がっかり
する未来が待ちうけていても、まっすぐ――そして、まっすぐ。

                             ■土手に山羊がいるというので僕らは
  
posted by イロ室長 at 01:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 土曜はカメムシを探しにU | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月19日

『 天井に湯上り天使が舞う時 』


――湯上り天使が舞い降りてきて夕方「憤激リポート」を見ていたアタ
  シに微笑むの。

そうして湯上り天使は、アタシの肩先に陣取って、愛らしくうるんだ瞳
で冷たい言葉をささやくのだ。いつものように。大事なことは。いつも
アタシが思うことは、正しいのはいつもアタシではなくて、それが、毎
回不思議で。辛いのはお互いさまだとみないうのだけれど。それって。

『今度は君が傷つくばんだぜ。いつも平尾くんばかり傷ついてもらって、
 申し訳ないじゃないか。』と天使は言う。

――世の中は不思議のワンダーランドだと《平尾君》は休憩室で思う

ついでに、ユニマットのカップが俺のときだけ、ベタベタする液体がつ
いているだろう?とふと考える。あの女の子は、誰からも好かれている
《杉内》のことを、明るくて冗談がうまくて面倒見がよくて、責任感が
あって、仕事ができる《杉内》を、どうして『嫌な奴』と言ったのか…
……。『嫌いな奴とはしゃべらない。挨拶をしないやつには次からしな
』そう言う彼女をやさしくたしなめた《杉内》を――。
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『オトコの甲斐性ってさぁ。アタシ思うんだ
 けど。好いたオンナの為にどれだけ自分の
 夢を削れるかってことじゃないかな………。
 どれだけ《ふたり》を一つのものと考えら
 れるか?そうじゃない?』



アタシは、食後の《アロエヨーグルト》を食べながら《湯上り天使》に
話しかける。『でもさ、アタシはね。自分が好いたオトコの夢にひきず
られたい
のよ。そうゆう強さにたまらなく惹かれちゃうんだよなぁ。』

残業の帰り《イノウエ君》はハンドルを握り締めて、早く消えてくれと
祈りました。シュウちゃんは、時々そんな風に、ふいに現れては《イノ
ウエ君》を、どうしようもないほど、切ない気持ちにさせるのでした。

どうしようもないほど、切ない気持ちにさせるのでした。

 
                         ■天井に湯上り天使が舞う時
posted by イロ室長 at 15:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 土曜はカメムシを探しにU | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

《八王子祭り》バナナフィッシュ日より、そして親方は振り向かない

 
――僕は人を愛すると言うことが分らないんだ。

多摩川大橋を渡る頃、雨はどしゃ降りになり、ワイパーを最速にしても、
ぬぐいきれないほどだった。雷が光るたびに、ラジオがノイズを出す。


  僕は  人を  愛する  ということが  分らないんです


――アタシさ、どうせいつか死ぬんだったら、イロ君に殺してもらいた
。たまにその言葉を思い出す。幼いというにはあまりにも痛々しい印
象を残した言葉。僕らは16歳だった。彼女のが残したそんな言葉を思
い出して、そして今身近にいる人の関係とか距離とかを、そうゆうモノ
サシで判断し確認する。ときどき――。
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  この人には殺されてもいい。
    この人だと《納得いかない》――。


なんか、若いのになんか所帯じみてるって
いうか、結婚するとそうなっちゃうじゃな
いすか。同い年ぐらいの独身の女の子なん
かと比べると違いがはっきりでるっていう
か……わかりますよね?

ほら、彼女からいきなり、母親になっちゃうっていうか……。そうゆう
のすごいショックなんすよね。一生独身でいたい派の《山崎》がそんな
ことを言っていた。5時の休憩に。たぶん、君はまだ若いのだ。
 
                          ■何で僕だけタイムカードの色が違うんですか……?
posted by イロ室長 at 14:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 土曜はカメムシを探しにU | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月18日

今日から俺を「おじさま」と呼べ、と姪に言った午後(ホ短調)

  
 『 バイカル湖音頭 』(世界の盆踊りシリーズ) 

 一、ハアァ−(ハラショー ハラショー)
   北の大地の真ん中の 光る湖水はエメラルド
   マイナス30度息凍る 人情しみるよツンドラよ
   海から離れていく千里 荒野の宝石バイカル湖

 二、ハアァ−(ハラショー ハラショー)
   犬橇の音軽やかに 残すシュプール白き峰
   獣も住まぬと人は言う ここは極寒一丁目
   人里はなれて幾千里 砂漠の宝石バイカル湖

 三、ハアァ−(ハラショー ハラショー)
   命をはぐくむ名水の 恵みを受けぬものはない
   今年の漁は豊漁だ  イクラも樽に満ちている
   故郷を離れて幾千里 夕日がうつるよバイカル湖


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今日一日仕事をしながら考えて、ようやくできた曲。
ここ数ヶ月、構想はできていたのだが韻をそろえる
ことができず、悩んでいたものをようやく、形にす
ることができた。正直、嬉しい。この作品がこのよ
うに、公表されるまでには、たくさんの関係者の方
々の協力が不可欠だった。ここにあらためて、謝意
を表する。

いっぱい、いっぱい、ありがとう。

                    
                  ■今思えばなんとなくいつもの彼ではありませんでした
 
posted by イロ室長 at 00:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 土曜はカメムシを探しにU | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

掃除のオババがセッターを吸いながら俺に言うのさ


――バカめ。………点が一つ足りねんだよ。

と俺が呟いたのは、通知をチェックしているときだった。『強化すべき
課題』の欄に、《今月は特にナン》と書かれている。《ナシ》と書きた
かったのだろう。キーマカレーか………俺は歌うように微笑んだ。

3時の休憩に秋空を眺めながらぼんやりタバコをふかしていると、隣り
で林君が唐突に『僕がもうすこしがんばってたらこんなことにはならな
かったんですよ。僕がもうすこしがんばっていたら今回の企画は……

と誰に言うこともなく、さも悔しげに呟いた。正直、意味がわからなか
ったけど。は?と思ったけど、その言葉はなんだか無性に、心の奥底に
しみた。ぶっちゃけ悔しかった。やられたと思った。今度使おう。

ふと、こいつはどれぐらいバカなんだろう?と思い、《由美ぶ》に聞く。

『あの、《由美ぶ》さぁー』「うん?何?」
『………………』「………何?」『………サーモンピンク?
「いやん!やだ。もうやめてよ(笑)昼間っから何言ってんの?」
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嬉しくなって俺は、《由美ぶ》のみぞおちに、
膝蹴りを入れる。痛みにこらえながら笑う
《由美ぶ》。バカはいい。本当にいいものだ。
勇気を希望を、ありがとう。さあ明日も愛を
さがしにいこう。


――『愚痴なんて聞きたくないね』掃除のオババがセッターを吸いながら。

才能の条件を教えてやろうか?自分を死ぬまで疑わないことだよ。それ
だけさ。アンタはたしかに、アンタが感じているように、一生を凝縮し
たような魂を揺さぶる瞬間を、味わうことができるだけの受け皿を持っ
ているかもしれない。ただし――ただしだよ。いい景色ってのは高いと
ころからしか見えない。飛ばなきゃ見れない。いいかい?


高く飛べる奴ってのは上しか見てないもんだよ。上。上だけさ。
 
 
                             ■君の知らないメロディ 聴いたことのないヒット曲
posted by イロ室長 at 00:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 土曜はカメムシを探しにU | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月17日

実家の電話の傍には《駅の時刻表》が貼ってあるものだ

  
――俺の部屋が。

俺の部屋のカーテンが、マイメロディになっている。俺の机には「プー
さん」が並んでいる。俺の部屋が俺の部屋でなくなっていく。俺のCD
ラックには、演歌のカセットテープが強引にこれでもかと積めこまれて
いる。机の上はたくさんの「アロエ」の鉢と、並んだ化粧瓶。ドライヤ
ーブラシ。封が切られたサロンパス。社員旅行でいった那須の写真。ゴ
ムボールがついた肩叩き。

――俺の部屋が、12年間暮した実家の俺の部屋が、嗚呼………母ちゃ
  んの部屋になってゆく


実家に帰り、元自分の部屋に篭ると、なんともいえない甘酸っぱい気持
ちになる。賞状、修学旅行のペナント、スポーツ少年団のメダル、図工
で作った彫刻。拾ってきた工事中の看板。………時間があのときのまま
に止まっている。
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思えば俺はこの部屋から、ガールフレンドに
電話し。この部屋でギターを弾きはじめ、こ
の部屋で自慰を覚え、この部屋で眉毛を剃り、
この部屋から東京に憧れ、未来を夢見。この
部屋で嫌々、不規則動詞を暗記し、この部屋
で自分の力ではどうしようもならないことを
知ったりしたのだ。


俺は部屋に語りかける。「やあ、ひさしぶりだね」部屋はいつもやさし
い。『ひさしぶり。どう?東京のほうは?』「まあまあさ――。」『何
か変った?』「何もかわらないよ。俺は、何も――きっと――。」

実家。俺は思う。実家にはそこしれないパワーがある。それは例えば、
居間に飾られた「観光地提灯」。ひさびさに来ると、ちゃんと増えてい
る恐怖。その存在感。

そして実家のトイレにはきまってカレンダーが貼ってあるのだ。

                        ■実家の電話の傍には《駅の時刻表》が貼ってあるものだ
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2005年11月16日

いつまでもたえることなくトモダチでいよう

  
――どうしてアタシのことだけ《~さん付け》なんですか?

ちょっと冗談っぽく、だけど探りっぽく《鎌田》がすねている。ちっ、
俺はこいつのこうゆうとこが、鼻につくんだ。それもわざとみんなの
前で言う。そういう。小利口なところが。大体。お前が『俺に距離お
いてる』くせに。自分は動かないで、安全な場所にい て、傷つかずに
リスクをおかさずに。なるべく自分が傷つかないように。傷つかない
ように。………そいうところ。――だから《~さん付け》なんだよ。

『いいか?目をみて明るく挨拶しろ。』

モテるようになるためにその@。「あいさつするべし」と《のっこ》
の携帯にメールする。さっそく実践してた。『清楚感と明るさ』これ
はある意味、非常に大事なことだ。俺だって、これで、何度勘違いし
たことかわからない。
まあ、それはいい。今ここで語ることではない。

――アタシ、モテるようになれますかね?
kame03.gif
『なれるよ。俺がそうするっていったら、
そうなるんだよ。』《のっこ》は、嬉しそ
うに俺を見上げた「アタシ、彼ができたら
ディズニーランド行きたいんです。アタシ、
TDL好きで、年間フリーパス持ってるん
です。



おう。ミッキーに頭舐めてもらえ。ミッキーに頭舐めてもらうと、幸
せになる
っていうからな。――嗚呼。この子が俺から巣立ってゆく…。

誰かと出会って、誰かと別れる。ひとつひとつの出会いは、無数の広
がりを含んでいて、そしてどれも、忘れ得ない大切なもの。いつも僕
は見送る側で、やさしい気持ちで、さびしさを隠して、その背中を、
最後まで見送る。人ごみに消えるまで手を振りつづける。

――元気で。また近いうちに会おう。

気休めだけど、言わずにはいられらない。そして温かいことば。

                          ■きょうの日はさようならまたあう日まで
 
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2005年11月14日

アジサイと海と雨 〜2年8組の君とはじめて歩いた日


――それは僕が生まれてはじめてのデートだった。

前日、兄にスーツを借り、花束は何がいいかな?って、いたって真面目
に言ったら、「見合いか?」って大笑いされた。

その「2年で胡散臭い男NO1」の僕に興味があるという‘いかれたブ
ス’を8組に見にいった奴らは教室に入ってくるなり『すげ、カワイイ
んだけど………
」と眉間に皺をよせながら言った。それで僕は慰謝料と
して帰りにラーメンを、そいつらにおごらなくてはならなくなった。だ
けどデートってどうすればいいんだろう?僕は土下座までしてクズども
に頼みこんだ。教えてくれ。デートって何だ?友人は言った。

『気の利いたアメリカンジョークの一つや二つ用意したほうがいいな』
『相手をかぼちゃかなんかだと思えばいいんだ』
『菓子折りぐらい持ってくのが礼儀なんじゃないのか?』


即座にラーメン代480円をそれぞれ徴収した。やっぱりクズはクズだ。

――当日。うんざりした気持ちで、アジサイで有名なお寺の軒下に二人。
話題がない。沈黙。どしゃぶり。遊覧船は欠便。水族館は改装中。展望
台は、何も見えず。きまづい。後悔している横顔だ。あーあ。――僕は
自分を呪った。死ねばいいとすら思った。そうさ俺なんてこんなもんで、
教室の隅でクズどもと『コブラ対マングース』ごっこしてればいいんだ。
調子こいてバカみてえ。さっさと帰ろう。夢をありがとう。

『もう行こうよ………どうしたん?お腹痛いの?(何言ってんだ俺は)』
「……ね、いっしょの傘に入っていい?」

僕の頭の中は、完全停止した。
kame03.gif
僕達はただ黙って アジサイの咲く小径を抜け
て海岸へ向かった ぎりぎりのラインで 僕ら
はぎこちなく触れ合っていた 一気に傾いてし
まいそうな情熱を 強引に押さえ込みながら暖
かさも感じながら 相手を無理やりに理解しよ
うとしていた


何もうまく言えなくて あわてて、せつなくて もどかしくて ごまか
せなくて そして真剣さだけが残って それを怖がられるのが不安で 
結局何も言い出せないままだった だから僕達は

ただ黙って アジサイの咲く小径を抜けて ひとつの傘の距離にどきど
きしながら 灰色の海岸へと向かっていった ただ黙って 相手の肩の
わずかなぬくもりで それだけで幸せを感じながら


――二人とも、今はこれで十分だと思った。

               
                       ■アジサイと海と雨 〜2年8組の君とはじめて歩いた日
posted by イロ室長 at 15:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 土曜はカメムシを探しにU | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月13日

僕が少年だった頃 〜支配からの卒業とカップラーメン戦争〜

  
――箱根の山荘も秋化粧につつまれはじめている。

私は遊びに来たT氏にカップラーメンを勧めながら、ぽつりぽつりと、
思い出話を始めた。

中学校の敷地のすぐ傍に、中三の時にカップラーメンの自販機ができた。
それは、田舎の地元に、『コーラ瓶が落ちてきたブッシュマン村』並に、
一大センセーショナルを引き起こし、はじめの頃は、見物の人だかりが
絶えなかった
。当然、学校側は、下校中のカップ麺購入を厳しく取り締
まった。とくに『東中の鬼平(犯科帳)』といわれる体育教師のK先生
は、自主的に放課後、自販機の裏の藪の中に隠れていたりした

そんなある放課後、カップラ購入後、お湯を注入し、食べ歩きはじめた
刹那、一台のスカイラインが前を塞いだ。K氏だ。僕はカップラを投げ
出し、走り出した。
kame03.gif
乾季の田んぼの水路にもぐりこみ泥だらけに
なって、死に物狂いで逃げ回った。見つかっ
たら、どつかれるどころじゃない。最後には
積んであった田んぼの藁束の山の中にすっぽ
り入りこみ夜が更けるまで待った
。僕は卒業
までの1ヶ月間、逃亡生活を決めた。


昼休みの呼び出し放送は無視し、体育のある日は早退でやりすごし、玄
関では人の陰を選んで歩いた。思えば、紙一重の毎日だった。そして、
とうとう時効の日を迎えることになる。卒業式の見送りの玄関で、K先
生と僕はお互いを眩しそうにしばらく眺めた。

『とうとう逃げ切ったな二上………。』
「………23日までは、ここの生徒ですよ。」
もう行け。………お前の勝ちだ。』
「先生………どうかお元気で。」

K先生は、応えるかわりに、後姿のまま軽く手を上げて去っていった。

これが僕のカップラにまつわる思いでです。

                                 ■僕が少年だったころ
  
posted by イロ室長 at 12:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 土曜はカメムシを探しにU | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

《女冥利》そしたらベンジー、あたしをグレッチで殴って(後半)

  
――人が、《現実》よりも《理想》の愛を知ったとき、それは、人にと
  って、幸福なのだろうか? それとも、不幸なのだろうか?


「なんだお前、モテたいのか?でもさぁ、好きな人にモテなきゃ意味な
 いじゃん。モテるとその分《自分に合った人》に出会えなくなるぞ。
 周りが騒がしくばっかりなって。そうゆうもんだって」と俺が言った。

アタシだって22の女です。人並みにカレシぐらい欲しいです。

ゆっくり待ってろって、お前のよさは中々表にでないからしょうがない
んだよ。…………そんな、絵の具忘れた小学生みたいな顔すんなよ
………………
しょうがねえな。ま、一回ぐらいモテてもいいだろう。ク
セになるなよ。お前、童顔だからさ、少しいじるだけですげぇ変わるよ。
とにかく、調子にのんなよ。ちょっとボールペンかせ。お前、貯金ある?

OK。25万もって、代官山のこの店いって《しぃ》さんの紹介です。
っていって、サロンディレクターの《杉内》って奴に切ってもらえ。
したら、表参道行って、この事務所で《佐々木》て奴に会って、残りの
金全部使い切って、服と靴と小物選んでもらえ。いいよ。とりあえず夏
物だけで。あ、ついでにメイクの仕方も《杉内》に教えてもらえ。お前
の化粧は………(のっこをじっと見ながら)、どう見ても、雑。
kame03.gif

今まで、着てた服は、全部捨てろ。もう着るな。》

そうだよ。付加価値なんて、ちゃんと金かけた分だ
けつくんだよ。モテたきゃ、正しく自分に金をかけ
ろ。なんだかんだ言って、見た目だからな、男なん
て。一般論だぞ。これは。んで、コンタクトやめて
メガネな。それも選んでもらえ。『え、メガネにす
るんですか?』

――そりゃぁ………俺の趣味だ。

                       ■女冥利につきるとき、お座敷三昧
posted by イロ室長 at 12:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 土曜はカメムシを探しにU | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月12日

■16歳魚座A型Aカップは振り向かない

  
――去年の今頃、マサミたちの言われるままに市が主催するサマーキャ
  ンプに参加した。

マサミは山本君が参加すると聞いて、私たちを道連れに申しこんだのだ。
山中湖に到着するなり、班編成で私達はバラバラにされ、私は12班の
サブリーダーになっている。憂鬱になった。人見知りの私はいつもぎこ
ちなかった。リーダーで三中から来たヒラオ君ととも全然口をきかない。
だから、私の12班はいつも盛りあがりに欠けていた。やっとやっと作
った、できそこないのカレーをガキどもに食わせ
、それをぼんやり眺め
ながら「早く帰りたい」と願った。

――素直な瞳でアタシを責めないで。ガキどもを見ていると、やましい
気持ちになった。それでも、自分を見捨ててしまうことはあまりにも悲
しくて。

最後のプログラム「マイムマイム」になり、ほっとする。これで終わり
だ。明日帰るだけだ。人ごみがばらけて、私はさっさと列を抜けだし陰
に座りこんだ。『小雨が降ってるんだからさっさと終わりにすればいい
のに
』と思いながらマイムを見ていると、体が震えた。私はブラウスを
部屋に置いてきたことを後悔した。と、マサミ達が駆け寄ってくる。

『山本君たち見なかった?』
「ううん。見てない」
『見つけたら教えてあげて。うちらテントのとこでお菓子配ってるから』
kame03.gif

それから。……寒い。肩を押さえて身震い
すると、後ろから声が聞こえて。うちのリ
ーダーのヒラオ君が、ダンボールを抱えて
立っていた。そうか、花火係りだったな。

――『それじゃ、寒いだろ?

ヒラオ君は、私に自分のパーカーを渡し、花火を一掴み置いていった。マ
イムに誘ってくれなくて、笑いかけてもくれなかった。手をつっこんだ、
そのポケットにはやっぱりタバコとライターが入っていた。私は無性に泣
きたくなった。はじめて、‘私はずっとさびしかったんだ’と気づいた。
何に?と聞かれるとうまく答えられないけど。

帰りのバスの中。見上げた標識に「八王子25km」と書いてある。私はも
う一眠りできるなと思った。そしておだやかなまどろみの中で、もう会え
なくなってしまった人の顔が順番に浮かんでは消えていった。浅い夢の中
で私は、ずっと、誰に対しても、「忘れないで」と言いそびれたままで。
だから、それだからこそ――。


声にならない、涙を流すのだ。
                           ■16歳魚座A型Aカップは振り向かない
posted by イロ室長 at 12:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 土曜はカメムシを探しにU | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

《どんまい!》我らイレブンの甲子園   〜感動の最終章

地区予選も9回戦へ進出した我ら純愛高校野球部。活気づくイレブンに
嬉しいニュースがとどく。オーストラリアへワーホリにいっていた豊田
がチームに帰ってきたのだ。しかし、適度にかぶれて帰ってきたので、
チーム内に不穏な空気が漂う。そんな中、エース竹内は、地区予選の日、
3組の軟式テニス部の子と『東京サマーランド』に行ってしまう――。

 ■■■ それぞれの休日 ■■■

母親:「おや、どこいくんだい?勉強は?」
二上:「ちょっとジョギングしてくるよ。気分転換さ。」
母親:「そういってさっきも腹筋してたじゃないの。」
二上:「………。」
母親:「まったくどっちが気分転換なんだか……」
二上:「まいったな………。」

高尾:「この裏ボタン買おうかな?」
日野:「あ、いいんじゃない?この短ラン、短すぎねーかな?」
高尾:「あ、いいよ。それぐらいOKでしょ」

竹内:「え?実家って………マサミ先生の?」
先生:「うん。一度うちの両親に会ってほしいなって思って。」
竹内:「………別にいいけど、なんか急だね。」
先生:「………あのね……もう、三ヶ月ないの。」
kame03.gif
マネージャー中野は夕方出勤前の時刻、
美容院でセットしてもらっていた。

中野 :「今日はカラーリングもしてもらお
     うかな」
美容師:「あら、どうしたんですか今日は、
     気合入ってますね」
中野 :「へへ。ちょっとね。」
美容師:「お店の記念日?……あ、ママさんの誕生日とか?」


――それはね。明日の試合に勝てば、甲子園なのよ。


                 ■我らイレブンの甲子園 〜感動の最終章

posted by イロ室長 at 11:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 土曜カメF11人の甲子園 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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