――改札口でずっと泣いているので、嫌だった。
だけど置いていくわけにもいかず、他人のふりをするわけにもいかず、
しょうがなく嫌々、彼女の傍にいた。そんな風に、彼女は突発的に感
情の歯止めがきかなくなるときがあった。それは大抵ワガママから来
るもので。だけどそれを責めるだけの甲斐性も僕にはなく。ただ――。
ぼんやり、他人事のように眺めていた。「早く泣きやめばいいのに」
と、考えながら。僕が、おばあちゃんっ子で、よく泣いていると、姉
は憎らしげによく、こう言ったことを思い出す。
『泣けばいいと思って――。』
僕が、姉は冷たい人だと思った瞬間だった。そして今僕は、その言葉
を、この子に言おうとして、ちょっと踏みとどまる。それから帰って
家で、――泣いたりしてごめんね。なんてメールが来ると。どうしよ
うもない気持ちでいっぱいになるのだ。
彼女は、真夜中のまどろみの時間にたたずんでいた。そして、「どう
してアタシはいつもこうなんだろう?」と嫌な気持ちで眠れず。また
思う。

待ち合わせた改札口に ぴったりと出会わ
なければ たちまち不安になる今は昨日へ
続いた 愛情ってやっかいなもので 怖く
て 温かくて その思いつめた力強さは
ときに人を救い また人を傷つける だけ
ど あの人がとんなに冷たくて嫌な人でも
好きになったものはどうしようもなくて
ひかれてゆく強引に向こう側へ引きずられてゆく
こんなにもアタシを揺り動かすものを――。熱帯が私へ近づいてくる
この窓から忍びこむのは 椰子を揺らすあの熱帯の物憂い風だ
『ワタシは人間を傷つけないようにプログラムされているのです』
真夜中の白黒映画のロボットはそう言って、泪を流す代わりに 自爆
して果てた。私はあの人を傷つけたいけど、できないでいる。そうし
て眠りにつく前に。そっと呟く。
アタシはあの人を愛しているんだ――。
■アタシと平尾くんの自爆装置ストラッド
−IRO& CHEMICAL CORPORASHIONS


