2006年11月29日

★度胸と巨乳ひとつで世の中を渡ってきた21歳に漢字を教える5


tidori1.jpg ――プっ!おもしれ。5刷目ができたと大和書房
から「ベタ辞典」が送られてきて、それを読んで
るうちに笑いがとまらなくなった。誰だよ、作者
は?と見ると、俺だった。と、隣から暴れ乳が、
例によって、漢字を聞いてくる。辞書ひけよ。


――《接吻》

こんな素敵な漢字もよめないのか?俺は唖然として、テレビはバラエテ
ィと心霊スペシャルしか見ないという21歳の瞳を覗き込んだ。やはり、
先輩にあったら一、二年は学校でも、街でも通り過ぎるまで頭を下げて
いなければならないという、夜露死苦な中学で多感な思春期をすごして
しまうと、こうまで人間がゆがんでしまうのだろう。

――《接吻(キス)》って読むんだよ。俺はやさしく微笑んだ。



                       ■昭和任侠伝 Fカップとすごした日々5
posted by イロ室長 at 23:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 土曜はカメムシを探しにU | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

《イロ日記》僕は透明人間なので、見つけることはできないと思います


――なんかさ……そこにいるのにそこにいない人みたい。

tidori1.jpg 「まあ、そうだろうね。」『どうして?』「だっ
てずっと先にいるもの」『アタシよりずっと年上
だから?』「違うよ。逃げてるんだ。誰からも、
何からも。」 ――誰にも捕まらないように。



八王子から武蔵五日市を抜けて奥多摩へ向っている。夜に。僕は。今。ひ
とり。アクセルを踏み切ってタイヤを滑らせて、曲がりきってほっとして。

そんな風にしか生きてることを確かめられないとしたら。それはきっと、
救いようのないぐらい、不幸なことなのだろう。誰かを愛することでしか、
自分を感じることができないとしたら、それはどうしようもないほど悲し
いことなのかもしれない。でもね――。君に問いたい。


 ★★★

君に「やさしい」といわれるたびに、泣きたいような気持ちになるのさ。

 ★★★

誰にも混じり合わないように過ごしてきた。物心ついたときから。平凡さ
やありきたりのことを時々、がまんできないぐらい憎んだ。そんな風に生
きてきた。誰かの受け売りや、口だけのことじゃなくて、僕は、本当にそ
うして来たんだ。『いっしょにされちゃたまんない』って…嫌な奴だよね。

本当はね。正直なところ。《さびしい》んだ。どうしようもないぐらい、
寂しいんだ。今もそして明日も、淋しくてさみしくてしょうがないんだ。


――でも、それを言えずに、今日も働いて、生活して、生きている。


                      ■僕は透明人間なので、見つけることはできないと思います
posted by イロ室長 at 21:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 土曜はカメムシを探しにU | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

★度胸と巨乳ひとつで世の中を渡ってきた21歳に漢字を教える4

  
tidori1.jpg ――イロっちすごーいっ!総務の女たちに、ふと
こいつらのレベルを試そうと思い、親指が切れる
手品
を見せたら、おおはしゃぎだった。バカども
め。俺はなぜか腹を立て、もう日本も終わりだと
泣きながら帰ってくると《宝田》が、小首をかし
げている。

この漢字なんて読むんだっけ?俺はこの、本は女性週刊誌しかよまない
という、巨乳ひとつで世の中を渡ってきた21歳の顔をまじまじと眺め
た。きっと今もこいつの頭の中は、電撃入籍!電撃離婚!とかイナゴの
佃煮のように渦巻いていると思うと、誰もいない海で思いっきり泣きた
くなってきた。

――宝田。それは『瞬間(とき)』って読むんだぞ。


                       ■昭和任侠伝 Fカップとすごした日々4
posted by イロ室長 at 00:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 土曜はカメムシを探しにU | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

《iro日記》小学5年まで、ちょうちょ結びができませんでした


tidori1.jpg 休憩から帰ると、俺の作業着の袖が結んであって
イタズラされていた。口内炎が痛く朝から機嫌が
悪い俺は、黙って解く…解く………解けない。…
……って、こんなに固結びしたのはお前かぁぁぁ
ぁぁ―――っ!


俺は《由美ぶ》の腰骨を押さえ尾骨めがけて膝蹴りする。そして彼女は
痛みに悶絶し、しゃがみこみ声も出ないわけで。いいんだ。すこしMっ
気があるから。これぐらい。何のその。

………と休憩から帰ると、クズどもが仕事をほっぽりだして、紙くずで、
サッカーをしている。とりあえず来客用スリッパで、横っ面を順番にひ
っぱたいて歩く。仕事しろ。

『お前ら、それで給料もらって、まともに汗水たらして働いてる人々に
 申し訳ないと思わないのか?』


 ★★★

Bランチの「とんかつみぞれおろし定食」に並んでいると、今日もまた、
《トイレ窓の女》と会う。俺の後ろに並んでいて、大笑いする。

『何も言わなくても、ごはん大盛りにしてもらえるんだ(笑)。』

うるせえ。口内炎の俺は無視する。『男は食ってなんぼだ』。そして俺
はいつもの席につき《のっこ》に言う。

『いいか。食が細い男はあっちも性格も淡白だからな。女として幸せに
 なりたかったら、まずは、飯をうまそうに食う男を選ぶんだぞ。』



                        ■小学5年まで、ちょうちょ結びができませんでした


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2006年11月26日

★度胸と巨乳ひとつで世の中を渡ってきた21歳に漢字を教える3

  
tidori1.jpg 『まって。そうよ。ここ。この場所で犯人は車を止
めて、立小便をしたの。そうよ。その場所。……彼
は、勢いよく放尿したわ』と、俺が休憩室で超能力
捜査官の真似をして
、クズどもを癒していると、乳
で風をきりながらコードネームはF《宝田》が、漢
字を聞きに来る。

そして俺は唖然とした。その指先は明らかに『返事』を指していた。

可哀想に……。ホットヨガやピラティスに通う前に、公文式にいくべき
と俺は思ったが、あえて何も言わず俺は春の木漏れ日のような笑顔で、
教えてやった。

――困った奴だ。それは《返事(こたえ)》って読むんだよ。

                   
                        ■昭和任侠伝 Fカップとすごした日々3
posted by イロ室長 at 23:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 土曜はカメムシを探しにU | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

《国勢調査》お前のこと待ってんじゃねえか。早く抱きしめてこい。


tidori1.jpg ひまつぶしに『恋の悩み相談室』を開く。そんで、
小嶋が俺に言う。『イロさんのアドバイスって必
ず、――お前のこと待ってんじゃねぇか!……早
く行って抱きしめて来い。ですよね………
』と、
冷めたコメントをもらう。

 ★★★

《のっこ》が、どうせ自分なんかと、ミスしてしょぼくれてる。

なんだよ。お前『自分を否定する』暇があんなら笑え。ほら笑え。お前、
『自己否定』なんて3世紀早ぇんだよ。お前がそんなことしたって、見
苦しいだけだからやめろやめろ。ほら、しけた面してねえで笑え。わっ
はっはっはっは。はい。

『………は、はは………はは。』

俺は、おもいっきり《のっこ》の脇の下をくすぐる。

『ちょっと。ひゃ、あぁ、セクハラ!それ、セクハラ!(笑)』

と、じゃれていた午後。そうさ。何でも笑い飛ばしちまうのさ。

                         ■お前のこと待ってんじゃねえか。早く抱きしめてこい。
posted by イロ室長 at 21:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 土曜はカメムシを探しにU | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月25日

★度胸と巨乳ひとつで世の中を渡ってきた21歳に漢字を教える2

  
tidori1.jpg 俺が、休憩時間のつまんねえバツゲームで負けて、
武田鉄矢で「僕は死にましぇーんっ!」って、死
にませんって言ってるのに、死んだほうがましな
物真似をやらされてると、さっそうと乳で風をき
りながら宝田が来て、また俺に漢字を聞く。


可哀想に、友達がいなくて、非番の日も用がないのに、会社に顔を出す
この女は、《理由》という字も読めないのだ。俺は抱きしめて、「もう
大丈夫だよ」と言ってあげたい気持ちでいっぱいになった。でも俺の中
の意地悪な小悪魔が、その言葉を変えてしまったのだ。

――しょうがねえなぁ。それは《理由(わけ)》って読むんだよ。

                 
                          ■昭和任侠伝 Fカップとすごした日々2
posted by イロ室長 at 14:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 土曜はカメムシを探しにU | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

★度胸と巨乳ひとつで世の中を渡ってきた21歳に漢字を教える

  

tidori1.jpg 俺はその日、月給を日割りで計算し、その一日分
の給料分を午前中の二時間で達成したと自分で思
ったので、後の六時間を『ホットペーパー立川、
八王子版の切り抜き』でつぶしていた。と、暴れ
乳Fの《宝田》
がこれなんて読む?と聞きに来る。


可哀想に、この巨乳ひとつで世の中を渡ってきた21歳は《強敵》とい
う漢字すらしらないのだ。喉先まで(ライバル)と出かけたが、しかし
俺の中の熱い宗家の血が、何かを変えてしまった。

――覚えとけ、それはな。《強敵(とも)》って読むんだよ。

                 
                               ■昭和任侠伝 Fカップとすごした日々
posted by イロ室長 at 11:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 土曜はカメムシを探しにU | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

《イロ日記》アタシはあの人を、こんなにも愛しているのだ

――辛いものを食べるとバカになる。

tidori1.jpg と昔、従姉がいってた。でも俺は学生の頃バンコ
クに言ってから、辛さにはまってしまった。タイ
にいた頃はこんなもの食えるか状態だったのだが、
しばらくいるうちにクセになってしまった。あの
酸っぱ辛さに。

で、昨日は恵比寿にあるグリーンカレーのおいしい店にいった。

 ★★★

『思いつめるほど好きになる』ということは、歳とともにできなくなっ
て。どうして何だろう?と「むつみ」が言う。休憩室で。21のクセに。
そんなことを言ったら細木先生に怒られてしまうだろう。と俺はアドバ
イスする。

『ただね。あの人のことが好きだって思うだけで、泣いちゃうのよ。一
 人、部屋で。‘アタシはあなたをこんなにも愛してる’って思うだけ
 で、どうしようもなく幸せで、すくいようのないぐらい不安で、そん
 な気持ちでいっぱいになって、ただ涙ばかり出るんだ。』


――アタシはあの人を、こんなにも愛している。愛しているのだ。

もう遠い夢になったのかな……そんな恋愛。ふっとうつむく《むつみ》
の顔は、まぎれもなく女の顔で。少女でも女の子でもない女の顔で。不
謹慎な俺は、とても綺麗だと思った。その横顔を。男を動かす、ため息
と、諦めがちな瞳と――。そして、この子はベッドで泣くタイプだろう
なと思った。情愛をもてあまして。

男を夢中にさせるタイプの女だ。でも、まさかそんなこと言えるわけな
いしね。調子にのるだろうし。


           ■運がいいとか悪いとか人は時々口にするけど
posted by イロ室長 at 10:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 土曜はカメムシを探しにU | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月16日

《iro日記》今月の‘マンスリーオブ‘ラブラブ'は誰の手に?!

――えっ?!ネズミ?!!ネズミがいるよっ!

tidori1.jpg チュゥ、チュ―と歯のすきまから音を出して新聞
を読んでいると《しぃ》が、大声を上げて、辺り
をきょろきょろ見渡している。俺はウフフと一人
微笑んでいる。 本当に声がしたんだよ。絶対いる
よネズミ………。と洗い物を始めたところで、ま
たチュ―チュ―と歯のすきまから音を出す。

――ほら!今聞こえたでしょ?……でしょ?

俺はウフフとこっそり微笑む。面白いので20回ぐらいやった。

   ★★★

さて、いくか………。俺は5時の休憩に《のっこ》を促す。途中で講師を
やってた頃買わされたグリーンの『芸人ジャケット』を羽織る。そして、
まっすぐ3Fの《みちる》のところへむかった。

――うわぁ。えぇぇぇえ。それってマジ?………アタシ?…アタシなの?!

《みちる》がタッチパネルから手を放して絶叫する。そうです。噂を聞き
つけたギャラリーをバックに俺はおもむろに《のっこ》から筒を受け取る。

『しょーしょーじょー。神谷みちる殿。あなたは、仕事の帰りに、給水バ
 ブルの配管の影に5歳年下のカレをひっぱりこみ、お姉さんチューをし
 てからバイバイしました。
そのアツアツ度を称え、ここに第7代《マン
 スリーオブ・ラブラブ》に任命します。』


平成18年11月16日、○○電子工業株式会社ラブラブ委員会長 イロ。
おめでとう!俺は力強く宣言し、ノッコがペットボトルとアルミホイルで
つくったトロフィーを渡す。ギャラリーが沸き、みちるはひきつっている。


                ■今月の‘マンスリーオブ‘ラブラブ'は誰の手に?!
posted by イロ室長 at 23:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 土曜はカメムシを探しにU | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月15日

《イロ日記》だってテレビがあればホントに友達なんていらないもん。とユウコが言うので。

――どんなものであれ会議ほど無駄なものはない。

tidori1.jpg 有意義な会議なんてあったためしがない。どうせ、
おしゃべりが仕切ってまとめて、盛り上がって、
バカな奴同士がどうでもいいことで熱くなった挙
句あげ足の取り合いになって終わりである。茶番
もいいとこだ。

俺は月例会議中、渡されたプリントの隅に「包丁人味平」がラーメンを
勢いよく、茹でているのを描きながら、そんなことを考えていた。った
くカニ味噌どもが。プリント一枚配ればすむことに何時間かけてんだ?
で、俺のチームの《宝田》が、発表する直前になって、あわてて俺に小
声で聞いてきた。


『ね、ね!この漢字なんて読むのよ?』

その指先は《現実》という文字をさしていた………。

可哀想に。多感な思春期を荒れた三中で過ごし、パー高でシンナーを覚
え、「度胸」と「巨乳」だけで世の中を渡ってきた、テレビはバラエテ
ィーとドラマしか見ない21歳のその横顔を見て、俺は『辛かったんだ
ね……』と抱きしめてあげたい気持ちにいっぱいになった。だけど、俺
も人の子。どうしてもそうしたい誘惑に勝てずに、思わず『《リアル》
って読むんだよ』
と、言ってしまった。

 ★★★

寒い寒いと《のっこ》が言うので、外回りの時に着る俺のドカジャンを
渡してやる。『うわ…………』「何だよ?」『タバコ臭くて、ぶかぶか
で何だか……』「嫌なら返せよ」『違うんです。』

――胸がキュンって鳴りました。

  
          ■だってテレビがあればホントに友達なんていらないもん。
posted by イロ室長 at 00:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 土曜はカメムシを探しにU | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月14日

《イロ日記》ゴーゴーレッツゴーレッツゴー「イロ」さん。

――もう!シャキッっとしてくださいよぉ。

tidori1.jpg 『残業』と宣告された瞬間から、涙目でうつむき
動かなくなってしまっった俺のそばで小嶋が言っ
た。――イロさん!と、俺をはげしくゆするが、
俺は無抵抗でふにゃふにゃするばかりだ。『もう!
どうしたら仕事してくれるんですか!イロさんが
やらなきゃ、後工程のみんな帰れないじゃないで
すか!』それでも……俺は、唇をかみしめてうつむき続ける。

『え?今何て言ったんですか?』

中学校とか高校の部活の女みたいに、ゴーゴーレッツゴーレッツゴー○、
○、○、ファイト、チャチャチャ、ここ拍手ね。…みたいな、なんかそ
んな、呪文みたいなか掛け声あるじゃん?その部独特のさぁ。

『………は?』

…だからぁ!(俺、切れ気味)ちょっと、経理の女集めてきて、そこで
やらせてみてって言ってんの。ゴーゴーレッツゴーレッツゴー、イ、ロ。
ファイト、チャチャチャ。


 ★★★

―ー夜、実家から電話が来る。新米を送ったとのこと。

母親は俺の人生がうまくいってないのを聞いて、嬉しそうだった。母は、
俺が社会のどん底のような生活をしていると満足するのだ。母曰く。

だってそういう風に育てたんだから。適当に就職して、家買って、ボー
ナスもらって、そんで満足して、ちまちま生きられちゃ、たまんないわ
けよ。母親としては。


               ■ゴーゴーレッツゴーレッツゴー《イロ》さん。
posted by イロ室長 at 00:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 土曜はカメムシを探しにU | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月12日

《イロ日記》ましてや「好き」なんて言えなかった。


tidori1.jpg 伊勢丹』の帰りに新宿公園でフリーマーケット
をみつけて。「面白探検隊」のぼくらは、秋の午
後を、その高い空の下で、二人の時間を、むさぼ
るように過ごして。君は本当に楽しそうにしゃが
んで、小さなガラスの置物を手に取るのさ。

――見て。可愛い象だよ。男の象と、小さいのは女の子だよね。

やがて訪れる冬の凛とした涼しい風のさびしさも、癒されない孤独も、
どうしようもならない諦めも。ぼくらは受け入れるだけ受け入れて、そ
の先に訪れるものを静かに見とどけるような、そんな恋だとしても。

 ★★★

楽しいお祭りが終わって、元のがらんとした広場に、僕らが見た風景と。
冷たい空気と、夕闇の心安さと、ポケットのぬくもりが、その時の、僕
らのすべてだった。

『たぶん私たちは、どこにも帰れないのかもしれない。』


 ★★★

泣けない女の子がいて。それは当時の僕のガールフレンドで、僕が学校
にもバイトにもいかず、彼女のアパートに入り浸っていた頃。泣けない
女の子が言うのさ。

――こんな時に泣けば、泣いてしまえれば、イノウエ君はもっとアタシのこ
とを愛おしく思ってくれるかもしれない。でも泣けないんだ。本当に、
アタシはいつからか泣けなくなったんだ。…ごめんね。


                  ■ましてや「好き」なんて言えなかった。
posted by イロ室長 at 23:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 土曜はカメムシを探しにU | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月11日

《イロ日記》テレビがあれば友達なんていらないとユウコが言うから

――なあ、俺はみんなからまだバカと呼ばれているか?

tidori1.jpg 俺は、自前のハルシオンが切れてくると、自己確
認せずに自我をたもてなくので、そうやって《桑
野》に聞いたのだった。それは、俺の中にあ『ロ
ックよ、静かに流れよ』的な、男闘呼組のDNA
の影響もあっただろう。


「話題にすらなってませんよ」

どうしてみなそういうのだろう。俺は大衆というものの、無邪気な愚か
さをなげきつつ、『やんやんややー八木山のーベニーランドには、でっ
かい夢が…はずんでるんだよ!美酒、爛漫』と、南東北人にしかわから
ない形の激しい怒りを、一般市民である《桑野》にぶつけてしまった。

 ★★★

『おつかれさま。ねえ。満月がとってもきれい。
 今、雲がその前を横切ってるよ。そこから見える?』


真夜中のサービスエリアで、一人、ひとやすみ。トイレに行って、無料
のお茶を飲んで、寒さに震えながら車にもどってくる。疲れた。シート
を倒して携帯を開けたり閉じたり。前に《亜美ちゃん》から、もらった
メールを偶然開いて、さびしくなった。

ダメだよ。亜美ちゃん。君を幸せにできるのは俺じゃないんだよ。君は、
早く、誰かと出会い、普通に恋をし、家庭を築き、そんな幸福が溢れ出
るような日常の中で、笑ってるべきなんだ。

 ★★★

ねえ。お月さまは夜の空にひとりぼっちだね。
ひとりぼっちななのに、あんなにかがやいてるよ。


冬。大晦日の夜。真夜中の自転車の後ろから、頬を僕の背中にそっとつ
けて、《シュウちゃん》が言った言葉を思い出した。それから――

――うちらは、ぜったいに太陽になれない、月の子どもなのよ。

文化祭の準備がやっと終わった夜。冬の帰り道。東京から転校してきた
《オオツキさん》が言った言葉を思い出した。


                   ■朝起きたら枕が涙でぬれていた
posted by イロ室長 at 01:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 土曜はカメムシを探しにU | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月04日

《イロ日記》斉藤さんの口内炎のことばかり考えてすごした午後

――あなたはどこか、そんな年で人生を達観しているようなとこがある。

tidori1.jpg 『達観』と彼女は繰り返した。彼女は教育実習生
で、僕はまだ子どもだった。そして、僕らの間に
なにか特別な感情や、非日常的かつ非倫理的な関
係があれば、とても安っぽい映画かドラマにでも
なっただろうけど、幸い?にも教師と生徒という
関係以外、なにものも存在しなかった。

『ねえ。君は悲しくないの?』と、彼女が聞いた。
「だって、どのみち誰でも死ぬんだし。遅かれ早かれ。」
『だから?』
「笑っていようって」
『……それって、自分で考えたの?』


ねえ。14歳の君がそういうことを考えることにとても危険な匂いを感
じるのよ。アタシは。とても、とても不健全な危うい何か。

 ★★★

もしも《希望》というものが《絶望》の中でしか生まれないものだとしたら。 

 ★★★

バイトが終わって、真夜中の世田谷の路地を歩くと、ポケットに小銭しか
なくて、足音までが貧相に響くんよ。君のことを考えて、余計切なくなっ
て。そんな風に僕は今日も働いて、生きている。生きている。


                   ■斉藤さんの口内炎のことばかり考えてすごした午後
posted by イロ室長 at 00:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 土曜はカメムシを探しにU | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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