2006年12月12日

★度胸と巨乳ひとつで世の中を渡ってきた21歳に漢字を教える8



tidori1.jpg ――あ、イロっち。3係の原田君。やっぱりアタ
シに気があるって!
休憩室に入るなり、《有里》
たちが嬉しそうな声で俺に言った。俺は、無言で、
テーブルの上にある紙をとりあげ、破いてゴミ箱
に投げ捨て、胸ぐらでつかんで、しぼりだすよう
な声で語りかけた。

――会社で、「こっくりさん」を、やるなっていったろ?

したら俺を探していたらしく「あ、いたいた」という声とともに、F
カップがやって来てまた漢字の読みを聞く。――《運命》

ふーっ。俺は天を仰いだ。仰ぐと同時に、「ゆとり」教育もここまで
きたのか
と嘆息した。また同時に「戦争に負けるということは、こう
いうことなのか」と泣きたくなった。

――宝田。これは《運命【さだめ】》って読むんだぞ。







                       ■昭和任侠伝 Fカップとすごした日々8
posted by イロ室長 at 23:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 土曜はカメムシを探しにU | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月10日

《イロ日記》それは一時の愛情よりも繊細ではかない何かだった

  
tidori1.jpg 築城で大事なのは「縄張り」、構造なんだ。……
この城は関東平定を目ざす秀吉の1万5千の軍勢
に力攻めされ、一日で落ちた。篭城らしい篭城を
する暇もなかった。「……面白い?」『うん。』
昨日、会社で「城跡を見に行く」というと。亜美
ちゃんが『アタシも行く』とせがんで。

僕らは人気ない晩秋の森の小道を、枯葉を踏みながら並んで歩いた。
二人の間に色あせた冬の写真のような時間が流れた。

 ★★★

「とてもうまくできてる。」『何?』この子はいつも相手の目をしっか
り捕らえてから話す。「美しい。機能的に。完結している」だけどこの
山城は人を守れず、そして誰もいなくなり歴史から忘れ去られ、完結し
たまま時は積み重なっていく。深海につもるプランクトンの死骸のよう
にね。……僕はそんな『時間』を感じる場所が好きなんだ。

『レイ・ブラッドベリの小説のように。』
そう!亜美ちゃん。まさにレイ・ブラッドベリの小説だよ。

  ★★★

本丸の石垣跡に座ると、さびしげな多摩丘陵が一望でいた。『まだ、す
ごくあったかいよ』と言って、亜美ちゃんが、魔法瓶からコーヒーを渡
してくれる。あと小一時間もすれば、街に灯りがともりはじめるだろう。

「僕らはね。今。完結した時間の中にいる。」意地悪な言葉に、亜美ち
ゃんが黙る。黙ったまま、ずっと足元の枯葉をつま先で弄んで。

   でも、でもアタシは先へ進まなければならない。行く先がなくて
   も行き止まりでも、答えがなくても、悲惨な結末でも、アタシは
   あなたから学ばなければならない。アタシはそう考えてる。


『アタシが成長するために、必要なことだと思うから』

それは一時の愛情よりも、繊細ではかない何かだ。僕は、言いかけて口
をつぐんだ。

                         ■それは一時の愛情よりも繊細ではかない何かだった
posted by イロ室長 at 00:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 土曜はカメムシを探しにU | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月08日

《iro日記》そして僕は「気持ちよく」生きてゆくのだ

――タイムカードを押すように、毎日が過ぎていくわけです。

 ★★★

『気持ちよく』生きること。

 ★★★

それがすべてだ。時々それを忘れないようにしよう。感じのいい人でい
ること。自分の考えを相手に押しつけないこと。相手の痛みを想像する
こと。そう。――相手の痛みを想像すること。

『できるだけ、誰も傷つけないで生きていけたらといつも思ってる』

そう言った、シュウちゃんに少しでも近づけるように。強い何かをいつ
も忘れないで生きてゆくのだ。――『気持ちよく』生きること。

tidori1.jpg 誰も傷つけないで生きていきたいというその気持
ち。そんな気持ちを、そんな気持ちになれる自分
を、大切に忘れずに、いつも、どんなときも、逃
げずに、開き直らずに、やさしい気持ちで、全て
にふれあえたのなら、それはきっと自分にとって
とても「気持ちいいこと」なのだ。

『自分が傷つかないように、自分が損しないようにとか、自分がバカ
 にされてないかとか、自分が傷ついてないかとか、自分の立場ばか
 りいっつも気にしてるのって、それは人としてすごく《みっともな
 い》ことだよ。』


アンタ今、すごいみっともないよ。大体アンタは、ただでさえ《我が
強すぎる》んだから。と、《しぃ》に言われて反省して。


                         ■『気持ちよく』生きること。
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2006年12月04日

★度胸と巨乳ひとつで世の中を渡ってきた21歳に漢字を教える7


tidori1.jpg 休憩室で新聞を読んでいると《横山》が口を挟ん
でくるので、うざったい。『そうか結婚できない
30代か…』―「バカだから結婚できないんですよ」
『求職中の人が増えてるんだなぁ…』―「バカだ
から
首になるんですよ」。『いじめ問題ね……』


バカだから」。『しかしいっこうに景気よくならないな」―「バカ
だから
ですよ」。口癖の「バカだから」をうざったく聞いていたのだ
が、こうも連発されているうちに、なぜかこいつが、ただ者ではない
ような気がしてきたわけで。そうこうしているうちに、また巨乳が
漢字を聞きに来る。

《都会》。……俺は、字が読めないくせに携帯は俺より使いこなせる
21歳の巨乳を横からながめ、とりあえず、でけえなぁ。と思った。
それから、TOEICだ、ワーキングホリデーだと言う前に、お前の頭の
中が、「Yeah!めっちゃホリディ」だ
と思ったがあえて口には出さな
かった。

――宝田。これは《都会【まち】》って読むんだよ。


                       ■昭和任侠伝 Fカップとすごした日々7
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2006年12月03日

《イロ日記》まわりりくどい男、受話器の向こうで何を語る?

――アタシさぁ。まわりくどい男って大っ嫌いだから。

tidori1.jpg 自分に自信がないなら、自分の気持ちに、言葉に
責任がもてないんなら、アタシにからんでこない
で。そうゆうなるべく自分が傷つかないように傷
つかないようにってしながら、相手に『かま』か
けてくるようなやり方、とにかく嫌いだから。あ
んたのそうゆうとこ。鳥肌が立つぐらい嫌いだから。

なんだか、すごいことになってるので、俺はこっそり休憩室を後にした。

《のっこ》が髪をばっさり切った。

――アタシ、今日から変わりますから。

『あぁ?』食堂で、NHKの昼のニュースを見ながら洋食ランチセット
をほおばる俺がきょとんとした。

結婚なんて誰でもやってることじゃないっすか?(ケンカ腰)でも、芸
人になるのは誰でもできることじゃない。恋なんてベタなことしてる場
合じゃないです。アタシ、今日から女を捨てて生まれ変わります。これ
アタシの決意です。受けとって下さい。

小箱を開けると、髪の毛が入っていた。軽く頭痛がしてチャイムが鳴る。


                         ■まわりりくどい男、受話器の向こうで何を語る?
posted by イロ室長 at 10:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 土曜はカメムシを探しにU | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月02日

★度胸と巨乳ひとつで世の中を渡ってきた21歳に漢字を教える6


tidori1.jpg ――今俺に一番足りないもの。それは『体当たり
の演技』
ではないだろうかとふと思い。隣で忙し
く入力作業をしている《小嶋》に聞いてみた。小
嶋の顔は「この忙しいのに」を如実に物語ってい
たが『だってイロさん役者じゃないでしょ』と言
い、またパソコンに向かうのだった。

と、乳で風を切りながら《宝田》がやってきて。その指先は『鼓動』
指していた。

俺は軽くこめかみを押さえ、この先この巨乳はどうやって人生を送って
いくのだろうと、哀れな気持ちになりつつ、カカオの量がどうのこうの
と言う前に、頭脳パンを毎日食えと思ったが、あえて言わなかった。

――鼓動【ビート】って読むんだよ。

俺の中の誰にも譲れないロックな何かがそう言ってしまうのだった。



                       ■昭和任侠伝 Fカップとすごした日々6
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2006年12月01日

《イロ日記》気の合う友達ってたくさんいるのに今は気づかないだけ


――愛しの、内線45番から電話がかかってくるのだ。

tidori1.jpg 《亜ちゃん》の5F。『すごい夕焼けキレイだよ。
みんなでさ、5時の休憩のとき、屋上に見 に行こ
うよ
』というわけで、ぞろぞろクズどもを従えて屋
上にいって。そこには、視界いっぱいにオレンジと
ピンクのパノラマが広がっていて。僕らの街を黄昏
色に染め上げているのさ。

――今僕はここに生きていて。手を伸ばせば届くところに君がいて。

憧れだった君と、今同じ道を歩いている。ただそれだけで、たってそれ
だけのことさ。それ以上何を、僕は望むというのだろう?

  ★★★

ときどき生きていることに不安になって、むしょうに誰かにすがりつき
たくなって、こういう時何でも話せる友達がいるっていいよね。

『なんかさ、いろいろうまくいかなくて、なんか鬱っぽいんだよね』
「お前さ、今何時だとおもってんの?」
『俺、このままありのままの自分でいて、いいのかなって思うんだよ』
「俺、明日早いんだよ。つーか、まともに働いている人は寝てんだよ」
『俺さ、これからどうしたらいいのかな?』


「死ねば?」――ガチャリ。


                ■気の合う友達ってたくさんいるのに今は気づかないだけ

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